会えない時代に心をつなぐ贈り物

それはニュースで流れる世界だけではなく
私たち夫婦の、穏やかな生活にも降りかかってきた。
コロナウィルスによって、世界は一変したのだ。

うちは、5年前に定年退職を迎え、今は庭の土いじりが趣味の主人と
手作り味噌の教室をしている私の二人暮らし。
二人とも賑やかなことが大好きで、ご近所さんと集まっては食事しながら
楽しくおしゃべりして、それなりに仲良く暮らしていた。

35歳になる一人娘は10年前に結婚。
生まれ育ったこの町を出て暮らしている。
GWや夏休み、敬老のお祝い、お正月には孫たちを連れて遊びに来ていたが
コロナになってからはパッタリ...とても寂しい。
仲の良いご近所さんとも集まれず、毎日閉塞感がつのるばかり。

パソコン画面で孫の顔を見て
「寂しいわ〜」「会いたい~」と
ついつい言ってしまう私の横で
「母さんの言うこと気にすんな。大丈夫だから心配すんな」と強がりを言う主人。

突然、娘からの贈り物が届いた。
私たち夫婦の大好物、鯖寿司だ!
主人にはしめ鯖寿司。私には焼き鯖寿司。
ちゃーんと一本ずつ入っている!
「あっちは鯖街道だからうまいぞ」
いつになく弾んだ主人の声を聞きながら
「あの子、大事に思ってくれているんだな」と胸が熱くなる。

さあ、今夜はご馳走。主人の大好きな日本酒も出してあげよう♪
娘夫婦と画面越しに乾杯ね♪